★★★★☆ キャラ立ち抜群の悪役顔盛り合せ、イタリアンプログレを沿えて
ミラノカリブロ9の概要、あらすじ
1972年公開、1時間41分。ミラノを舞台としたイタリアンマフィア映画。消えた30万ドルを持ち逃げしたと組織から疑いをかけられたウーゴ・ピアッツァが、疑いを晴らすべく奔走するが・・。劇伴はイタリアンプログレの巨匠(?)、オザンナ。
ミラノカリブロ9のキャスト
主役のウーゴ・ピアッツァを演じるのは、イタリア人俳優のガストーネ・モスキン。ジェイソンステイサムを隣のおじさん風にしたような風貌で味がある。「ゴッドファーザーPartⅡ」で町の権力者ファヌッチを演じるなど悪役が多い。(ファヌッチは口ヒゲがあったので全然気づかず・・)
もう一人欠かせないのは、ウーゴを追い回す組織のNo.2、ロッコを演じるマリオ・アドルフ。彼の憎めない悪役の風貌と声が、更に作品を濃いものにしている。実はイタリア人ではなく、ドイツ人。
実はウーゴの相棒、キーノ(演:フィリペ・レロイ)もフランス人。イタリア映画なのに国際色が強い!
ミラノカリブロ9のネタバレなし感想
この年代のイタリアンマフィアものと言えば、どうしても「ゴッドファーザー」シリーズが浮かぶ(Part Ⅱは1974年公開。)が、本作は同シリーズのような重厚感は皆無。ストーリーはやや説明不足も一本道なので、筋を見失うことがない。むさ苦しい男たちの哀愁溢れる演技が光る、名作とは言えないまでも見逃せない佳作。
本作を彩るのはミラノの美しい景色たち。ミラノ大聖堂やドゥオーモ広場などの観光名所から、無機質なビル群、川沿いの生活感あふれる町まで美しい。(写真: 2016年に筆者撮影)

更に映画を彩るのは、度々挿入されるオザンナのテーマ曲。静かなストリングスのイントロから印象的なギターリフと暴れまわるフルート。この曲を聴くだけでテンションが上がる!プログレ好きな方で本作を見たことない方は是非見るべきです。
ミラノカリブロ9のネタバレあり感想
ーーーー下記はネタバレーーーー
本作の主役はロッコとキーノだったなぁ・・と。ウーゴも、ヒロインのネリーを正拳突きで一撃KOする見せ場はありましたが(笑)。
キーノは当時40代とは思えない枯れ具合と渋い演技。アメリカーノのアジトに単身乗り込む様は、もう主役でした。
ロッコの「ウーゴ!」「ウーゴ!」とラストのセリフの繰り返しが耳から離れません。なぜラストにいきなりロッコがウーゴに惚れ込んでしまったのか、かなり謎ですが(汗)、作中一番のインパクトを残したのは間違いないでしょう。
字幕が時々途切れるのは気になりましたが、お気に入りの映画の一つになりました!
【2023年6月 鑑賞】
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